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時間外労働上限規制への対応に四苦八苦

執筆者

社会保険労務士法人スマイング 
コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢 が執筆しました。

6月29日、働き方改革関連法が成立しました。

IT業界は、慢性的な長時間労働の傾向にあるため、時間外労働の上限規制に注視されている企業も多くあります。

大企業は2019年4月から、中小企業は2020年4月から施工されますが、規制強化を先取りして残業時間の削減を進める企業がある一方、対応が遅れている企業も少なくありません。

 

朝日新聞社が昨年7月に東証1部上場225社の労使が結んだ36協定のうち、最も長い協定時間を調べた結果、少なくとも41社が規制の対象となる月100時間以上の協定を結んでいました。

 

月150時間・年900時間の協定を結んでいた東京急行電鉄社は規制導入を見据え、今年4月に月80時間・年720時間に協定を見直し、上限を引き下げるだけではサービス残業を誘発しかねないため、勤務時間が不規則になりがちな駅の係員や電車の乗務員の要員確保策として、配置転換を進めたり、採用を増やしています。

 

月120時間の協定を結んでいた東京電力ホールディングス社は、年度初めに管理部門が忙しくなるため、今年4月に最長で月125時間の協定を結び協定時間を伸ばし、他部門の社員を臨機応変に配置できるような仕組みを検討し、来年4月までに月100時間未満に収まるようにするとしています。

 

月140時間で協定を結んでいた住友重機械工業社は月120時間に引き下げたが、製品の据えつけや点検は取引先の工場の操業を止めて集中的に実施するため、その期間は長時間労働になりやすく、上限の引き下げのため対応が難しく、担当者は「事業部門ごとに総労働時間の削減の進捗に濃淡が生じている。残業抑制は容易ではない」と述べています。

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退社予定時間を書いたカードや有給休暇の消化を促す社長の手紙などを活用し、長時間労働を減らすアナログな試みもIT業界では広がりつつあります。

中小企業の適用は2020年4月になりますが、規制を見据えて、人事制度やアナログな仕組みを検討し始めてはいかがでしょうか。

 

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