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自己評価のある人事評価制度

執筆者

社会保険労務士法人スマイング 
コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢 が執筆しました。

人事評価シートで、「自己評価欄」を設け、社員(エンジニア等)に自己評価をさせているIT企業も少なくありませんが、運用の仕方や目的によっては自己評価は会社や社員の成長を妨げる要因になっているかもしれません。

「評価」自体の意味を辞書(デジタル大辞泉)でしらべると「品物、事実、人物の「価格、価値を決めること」であると書いてあり、商取引であれば、「評価」によって決定された「価格、価値」に対して対価が支払われること、または、売る側が設定した対価が、買う側が評価した「価格、価値」と同等、もしくは下回った時に商取引が成立することになります。

商取引では、買う側から商品の「価格、価値」の評価に対して、売る側の「自己評価」を考慮することはほとんどなく、自分で自分の評価し、「価格、価値を決める」ことはできないため、すぐれた製品を開発しても、必ずしも自己評価による期待通りに販売されるわけではありません。

自己評価のある人事評価シートでは、「自己解釈」が大いに入る定性評価になっており多くの評価者は、被評価者の自己評価を考慮しながら、評価の点数をつけている実態が多くあります。

評価者が、被評価者の自己評価より低い点数をつけることになった時には、フィードバック時に低くなった理由を被評価者に説明して納得してもらうという作業が発生していたり、評価者からの説明ができないため、フィードバック自体を実施しないというケースが起きています。

本来、企業は顧客から評価という「他社評価」を獲得しなければいけないため、自己評価は考慮せず、社内の人間がどれだけ会社に貢献できているかにといて、評価者から「他社評価」されるべきです。

自己評価に自己解釈が考慮されるているのであれば、会社の成長への貢献度以外のところで評価されるようになり、会社への貢献と獲得する対価に矛盾が起きてしまいます。

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自己評価を求める人事評価制度は、評価の「自己解釈」をせず、自己評価を会社が目標を達成するプロセスとして、自分の長所や、自分がどれくらい成長したかを確認するために行うものです。

そのため、自分自身の振り返りと評価者へのプレゼンテーションからより納得性の高い評価にするという目的があります。

IT企業において、勉強好きで新しい技術を自発的に学習するエンジニアがいますが、必ずしも会社の業績に貢献する技術の習得をしているとは限りません。

自己評価を求める人事評価制度を採用されているのであれば、運用や目的、自己評価を求めるかも含めて、改めて考えてはいかがでしょうか。

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